医療費控除やセルフメディケーション税制で確定申告をするなら、ふるさと納税の寄付も同じ申告に。ワンストップ特例は無効になります

引き出しの多い木の薬箱の前で、白い紙を持つはちまき姿の柴犬と、たたみの上のそろばん

10月17日から23日までは、厚生労働省の「薬と健康の週間」です。薬の話題が増えるこの時期に、ふるさと納税をしている人に一度だけ確かめておいてほしいことがあります。

それは、医療費控除やセルフメディケーション税制のために確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になるということ。その場合、ふるさと納税の寄付金控除も、同じ確定申告に入れることになります。この記事では、この1点にしぼって、国税庁と総務省の案内(2026年10月17日に確認)を読んでいきます。

※国税庁の案内では、この控除の正式な名前の「付」の字を「附」と書いています。この記事では「寄付金控除」と書きます。

医療費控除とセルフメディケーション税制は「どちらか一方」

まず、医療費の控除の2つの形を確かめておきます。国税庁のタックスアンサー No.1129「セルフメディケーション税制」では、控除の額は、対象の医薬品(特定一般用医薬品等)に実際に支払った額の合計から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)とされています。そして、この税制は通常の医療費控除との選択適用、つまり、どちらか一方を選んで受けるものです。

セルフメディケーション税制通常の医療費控除
控除の額(No.1129 の書き方)対象の医薬品に支払った額の合計から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)この記事では扱いません(国税庁の医療費控除の案内で確かめてください)
2つの関係選択適用(どちらか一方)
ふるさと納税への影響どちらで確定申告をしても、ワンストップ特例は無効になる(下の節)
国税庁 タックスアンサー No.1129・No.1155 より(2026年10月17日に確認)

どちらを選ぶと自分に合うか、対象になる医薬品や必要な書類は、No.1129 と国税庁の案内、または税務署で確かめてください。この記事で大事なのは、どちらを選んでも、そのために確定申告をするという点です。

確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効に

国税庁のタックスアンサー No.1155「ふるさと納税」には、次のように書かれています。

確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄付金控除額を計算する必要があります。

国税庁 タックスアンサー No.1155(「附」を「付」に替えて引用)

総務省のリーフレット「ワンストップ特例を申請する皆様へ」でも、特例が適用されない場合のひとつとして、「医療費控除の申告などのため、確定申告をした、又は住民税の申告をした」が挙がっています。

そもそもワンストップ特例は、No.1155 では確定申告が不要な給与所得者で、ふるさと納税先が5団体以内の場合に限って使える仕組みとされています。医療費の控除のために確定申告をする人は、この「確定申告が不要」に当てはまらなくなる、と考えると分かりやすいと思います。

この人のワンストップ特例は、どっちの升? 札を仕分けてみて

  • 特例は適用されない(申告に寄付も入れる)
  • 特例のまま
  1. 3つの自治体にワンストップ特例を申請した。家族の通院が多かったので、医療費控除の確定申告をする

    答えは「適用されない」。確定申告をする人はワンストップ特例の申請が無効になり、申請した3つの分もふくめて寄付金控除の額を計算します(国税庁 No.1155)。

  2. 2つの自治体にワンストップ特例を申請した。医療費控除ではなく、セルフメディケーション税制を選んで確定申告をする

    答えは「適用されない」。どちらの控除を選んでも、確定申告をすることに変わりはないので、No.1155 の「確定申告を行う方は…無効」に当たります。

  3. 確定申告が不要な会社員で、2つの自治体にワンストップ特例を申請した。ほかに申告はしない

    答えは「特例のまま」。確定申告が不要な給与所得者で、ふるさと納税先が5団体以内なので、特例の対象です(国税庁 No.1155)。

  4. ワンストップ特例を申請したあと、医療費控除のために住民税の申告をした

    答えは「適用されない」。総務省のリーフレットで、特例が適用されない場合に「医療費控除の申告などのため、確定申告をした、又は住民税の申告をした」が挙がっています。この場合の手続きは、お住まいの市区町村の案内で確かめてください。

申告に入れるのは「特例を申請した分もふくめた」1年分

見落としやすいのは、ワンストップ特例を申請して、手続きが済んだつもりになっている分です。No.1155 のとおり、確定申告をするなら、申請した分もふくめて寄付金控除の額を計算します。医療費控除やセルフメディケーション税制の申告の準備をするときに、その年にふるさと納税をした分の記録も、いっしょにそろえておくと、申告のときにあわてずにすみます。

確定申告に使える寄付の記録の受け取り方は、「1年分の証明書データ」の記事にまとめています。e-Tax での申告の流れは「ふるさと納税のe-Tax確定申告のやり方」へ。

逆に、医療費の控除を受けない年で、確定申告が不要な給与所得者のまま、寄付先が5団体以内に収まるなら、ワンストップ特例を使えます。申請書の出し方は「ふるさと納税ワンストップ特例制度」、特例が使えなくなるほかの場合(6団体以上・引っ越し)は「年末調整の季節に確かめたい、控除の受け方」にあります。

年内の寄付先を考えている人へ

医療費の控除で確定申告をすると決めた日が、ふるさと納税の分もいっしょに申告すると決める日。おぼえておくのは、それだけで大丈夫です。

※2026年10月17日に、国税庁・総務省の公式のページで確かめた情報です。医療費控除・セルフメディケーション税制の対象や、自分の場合に確定申告が要るかどうかは、収入や家族の状況によって変わります。国税庁の案内や税務署、お住まいの市区町村で確かめてください。

参考にした情報